書感:ザ・ビジョン(やる気満ちてきたー!)

書籍「ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか(原題:FULL STEAM A HEAD - Unleash the Power of Vision in Your Company and Your Life)」を久々に読み返しました。 

ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか

ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか

 

優れたビジョンが持つ力・意義と、その作り方、実現の仕方が、とても分かりやすい(そして、自然な)ストーリーで書かれた良書です。

 

本書によると、説得力があるビジョンを生み出すための基本要素には、「有意義な目的」、「明確な価値観」、「未来のイメージ」の三つがあると言います。

  • 「有意義な目的」は、組織が何のために存在するかや、個人が何のために生きるのかという問いに答えるものです。例として、イソップ童話の「3人のレンガ職人」の話に似た逸話などを書いています。
  • 「明確な価値観」は、目的の実現の為に選択する判断や行動の指針や基準となる信念のことです。例として、製薬会社メルクのミッションなどを挙げています。
  • 「未来のイメージ」は、目的や価値観に沿って行動した暁に実現される世界や組織、個人の最終結果を表現したものです。例として、マーティン・ルーサー・キング牧師の「私には夢がある」で始まる演説が挙げられています。目をつぶればまざまざと思い浮かべられるような、鮮烈なイメージです。

 

そして、ビジョンはただ作れば良いものではなく、実現できなければ意味がありません。ビジョンを現実のものとするためのポイントとして、以下の3点を挙げています。

  • ビジョンを創造するプロセス:ビジョンはただリーダー(社長など)が、一方的に作って伝達するだけでは力を持たない。関連する人々の意見を聞き、議論することを通じて、一緒に作り上げることが、皆が納得し共感するビジョンを作るための重要なポイントである。
  • ビジョンを伝えるプロセス:ビジョンづくりは一過性のものではなく、絶えずビジョンについて話し合っていく必要がある。日々の出来事を「ビジョン」を通じて読み解く習慣を奨励することが重要なポイントである。
  • ビジョンを実践していくプロセス:ビジョンは放っておいても実現されない為、ビジョンに基づいた行動を促進するための構造(習慣や行動パターンなど)を構築・導入することが重要なポイントである。

 そして、ビジョンという未来像だけを見るのではなく、いま目の前にある現実を直視し、「あらゆる瞬間にビジョンを実践する」ことが大切であること、「行動」する「勇気」が大切であることが書かれています。

 

上記に簡単にまとめましたが、実際の書籍の中では、それぞれの良い例、悪い例ともに具体的に挙げながら、個々の要素の定義ももっと詳しく書かれています。

そして、それらの内容が、思いもよらぬ離婚からシングルマザーとして実社会に出ることになったエリー(主人公)の経験を通じて、ひとつひとつ発見、実践されていく中で、ビジョンがいかに会社や組織、家族、さらには個人の人生にとって大きな力を持つか、そのようなビジョンに必要な要素は何か? どうやってそのようなビジョンを作り、実現していくのか? が、順を追って書かれています。

自然なお話し(ストーリー)として書かれているので、全然教科書臭くなく、単なる小説としても読めるようになっています。

また、個人的には、本文中にもたびたび出てくる「Full Steam A Head (全速前進!)」という言葉の響きが好きです。ビジョンに向かって一丸となって全力を尽くし、全速力で進んでいく様子が、それこそまざまざと目に浮かぶようで、「ビジョンがもたらす変革のパワーを象徴するのにぴったりの表現」だと思います。

 

この書籍は、10年以上前に、会社で指定された研修を受講した際に配られたのですが、これまで何度も読み返してきました。読み返すたびに、すごくパワーを貰える素晴らしい本です。

是非、一人でも多くの人に読んで貰えたら、と思っています。