書感:顔ニモマケズ(凄いなぁ・・・皆さん、強いです)

書籍「顔ニモマケズ」を読みました。 

顔ニモマケズ ―どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語

顔ニモマケズ ―どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語

  • 作者:水野 敬也
  • 発売日: 2017/02/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

顔を中心に見た目に問題を抱える9人の方の半生についてインタビューした内容をまとめた書籍です。

 

どの方も見た目に相応のインパクトがあり、子供の頃に虐められた方や、途中、引きこもりになってしまわれた方もいらっしゃり、それぞれの苦悩をどのように乗り越えて、もしくは折り合いを付けて、今を生きていられるかを話されています。

それぞれの方がどのような病気で、症状なのか、どのような半生を送られてきたかについては、ぜひ書籍をご覧になっていただきたいのですが、お名前と病名だけ列記しておきます(検索すれば見つかる人もいるので)。

 

この本を読んで「凄いなぁ・・・」と思ったのが、掲載された全員がとても前向きで明るいことです。多くの方は、絶望に駆られた時期があったが、そこから勇気を出して一歩を踏み出し、(文字通り)外に出ていったということ。中には、たいして悩まれていないという方もいましたが、その方はその方でエピソードを読むと凄い努力の人なので、悩みにつながりそうなことを努力で超克されてきたのだと思います。一方で、いまも恐怖があるという人もいますが、その方もTVに出られたり、劇の講演をされたりと、積極的に外に打って出ておられます。

見た目にインパクトがあるので、様々な人の視線に晒される状況にもかかわらず、積極的に外に出て「そうした見た目があるからこそ果たせる自分なりの使命があるのでは?」と、人の役に立とうという人が多いのも印象的です。

また、どの方も見た目の問題は抱えていますが、いずれも魅力的な個性を持たれた方です。見た目というハンデキャップを超える努力をしたり、うまく回避する方法を見つけたりと、粘り強く取り組まれて来たということも、人間的な強さにつながっているのではないでしょうか。途中、挫けたことがあるということも、他者の痛みに寄り添える、人としての温かみにつながるのだと思います。

どの方も現代の医学では治すことはできず、逃げ場がない状況の中で、与えられた状況を受け入れたり、折り合いを付けたり(いい意味でのあきらめ)、それをバネにして努力されて、強い自分を手に入れています。それは素直に凄いことだと、尊敬してしまいます。

と同時に、皆さんのエピソードの中に出てくる心無いことを言われたり、ジロジロと見られてしまう経験を読むと、自分も同じことを言わないまでも思ってはしまいそうだし、つい目が行ってしまうことはありそうだと、反省してしまいました。

 

それはさておき、インタビュアーである著者の水野氏が以下のように書かれています。

人とは違う見た目に悩み抜いてきた人たちがつかんだ「幸せに生きるための方法」は、見た目というジャンルを超えて多くの人の悩みを解消する普遍性を持っており、 

本当にその通りだと思います。皆さんのエピソードで出てきた悩みを克服するキーワードのいくつかは、「人とのつながり」、「外に出ること」、「好きなこと(夢中になれること)を見つけること」です。

新しい「人とのつながり」を持つと、心無い人だけではなく、温かい人とも出会える。見た目の影響は受けるけれど、内面を知ってくれる人はいるし、そうした人との出会いは人生を明るい温かいものにしてくれるのだな、と感じました。そうした出会いの中では、自分を変えるきっかけをくれる人や、自分を支えてくれる大切な人を見つけることもできる、と。

「外に出ること」は、物理的に外に出るという意味もありますが、いま現在、自分がいるコミュニティ(学校や職場、地域、人間関係など)から外に出るということも含まれます。そうして今まで関わりがなかった新しい人たちと出会うことで自分の世界が拡がる、また、自分を受け入れてくれる場所が見つかるということもあると思います。と同時に、自分が居ることができる場所を自分で見つける・作るという努力も同時にされているのだな・・・と思いました。

どんなことでも良いので「好きなことを見つける」ということは、つらい時に自分を支える力にもなるし、好きなことを通じて「新しい人との出会い」や「外に出ること」にもつながるので、悩みがある人こそ、好きなこと、夢中になれることを見つけるというのは大事なんだな・・・と思いました。つらい状況が続くと、なかなか新しいことに取り組もうという意欲も湧かないかと思いますが、どんなことでも良いので、好きなことを見つけることができれば、そこから這い出すきっかけになりえるのではないかと思います。(私自身の経験でも、好きなことがあることが救いになってきたと実感しています)

 

他にもいろいろ思うことが多かった書籍ですが、私にはこの書籍に出てきた人たちの凄さや魅力を伝えることは全然できないので、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本書を読んでみてください。

いろいろ感じて貰えたらと思います。