書感:東大思考(特別な才能は要らない!頭よくなろうぜ)

書籍『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく東大思考』を読みました。

 

高校3年の時の偏差値が35、英語の試験は100点満点中3点だったという筆者が、東大生の思考方法を真似したら(2浪しましたが)東大に合格できた経験を踏まえて、頭が良い人の思考方法およびそれを習得するための方法がまとめられた書籍です。

 

筆者は、「『頭がいい』『悪い』を分けるのは、才能ではなく『思考回路』だ」と言い切ります。

その『思考回路』こそが才能なのだと普通は思うところですが、筆者自身の経験から「思考回路を変えれば、誰でも『頭がよく』なれる!」と、頭がよい人の思考回路は身につけることができると説きます。

 

本書の中では、頭がよい人の思考回路を次の5つに分類して、「頭がいい人は、なぜ頭がいいのか?」「どうすれば、頭がいい人になれるのか?」を具体的にかみ砕いて説明しています。

  1. 原因思考:「暗記しなくても記憶できるようになる」思考回路
  2. 上流思考:「簡潔に話をまとめることができるようになる」思考回路
  3. 目的思考:「人にうまく話しを伝えられるようになる」思考回路=
  4. 裏側思考:「他人が思いつかないアイデアを生み出せるようになる」思考回路
  5. 本質思考:「難解な問題を解決できるようになる」思考回路

 


例えば、1番目の原因思考では、東大生がなぜ短期間に多くのことを覚えることができるのかを説明していますが、そこには特別な記憶能力(=例えば、「新しい英単語を一度見たらすぐに覚えてしまう」)はないと言います。

彼ら/彼女らが覚えたいと思ったことに出会ったときにどうするかと言うと、「覚えやすいものに変換する」、「覚える対象を関連づけて、覚えるべきことを少なくする」のだそうです。それは、服を収納するときに、服のカテゴリーごとに分類して、種類ごとにしまう場所を決めて、同じ種類のものを同じ場所にしまうようなものです。

それをやり易くするために、単語なら単語のルーツ、歴史ならその事象が起きた流れ、などと源流・原因を辿って、同じ原因から派生する同じグループのものを関連付けて覚えると言います。

例えば、"unite"=「統一する」という単語があった時に、"uni"には「1つ」という意味があることを調べ、同じ"uni"を使う単語

 "uniform"=「1つの服に統一したもの→ユニフォーム」

 "unique"=「他にはないただ1つの個性→ユニーク」

 "unit"=「2つのものを1つにする→ユニット」

と類似のものも合わせて覚えると、

 "unite"=「バラバラなものを1つにする→統一する」

を、単独で覚えるよりも格段に覚えやすいと言う訳です。

記憶力の良い人は、このような「変換」が上手であり、収納の仕方が上手なので、丸暗記する量を極限まで減らしているのです。関連付けて覚えているので、全部を覚えていなかったとしても、一部を思い出せれば思い出せるようになるので、記憶の引き出し上手にもなれるそうです。


また、こうした思考回路を、ただ説明するだけでなく、考える順番をステップに分けて説明することで、再現しやすくしています。

原因探しで言えば、
 Step0. 結果探し  :覚えたい物事・事柄を探してみる
 Step1. 具体物探し :特徴的な数字や言葉の意味を探す
 Step2. 問いを立てる:その数字・言葉を使って「なぜ?」を考える
 Step3. 背景を知る :その数字・言葉の背景を調べる
 Step4. 原因を探す :「なぜ?」に対する解答を考える
といった具合です。(もちろん各ステップの内容も説明しています)

 

この様に東大生の頭の良さにつながる思考回路を細かいステップにまで落とし込んで説明していることが本書の特徴となります。また、単に説明するだけではなく、簡単?な演習も付いていますので、読んだだけで出来た気になるのではなく、実践することの後押しもしてくれています。

本書の中でも、「理解する」のと「実践できる」のは、別の問題だと書いてあります。

東大生が頭が良いのは、こうした思考回路を身につけているだけではなく、それを日常的にどんなことに対しても使っているからなのだと言います(それを「日常の解像度が高い」と表現しています)。

例えば、信号機で「青信号」と言いますが、実際には緑色なのになぜ「青」と言うのか、だとか、東京で売られている牛乳の産地は関東近県のものが多いのに対し、バターやチーズは北海道産が多いのはなぜか?など、日常生活における「あらゆること」にアンテナを張っているのだそうです。

 

実際にこれをやるには、「目に映るものすべてに興味を持って、都度、調べる」という手間を掛けないといけなくなるので、普通の人にはそこまでアンテナを張るのは困難な気がしますが、言いたいことは分かります。

個人的には、仕事などで覚える必要が出たこと、何か解決しなければいけない問題が出たこと、もしくは、今まで習慣的にやってきたことに対して、『東大思考』を応用してみようかなと思っています。

 

あと、この書籍を読んで役に立つなぁと思ったのが、欄外にある各思考回路に関連する書籍の紹介です(全20冊)。

私自身、読書好きなので、面白そうな書籍やタメになりそうな書籍の情報は大歓迎なのです。。読んで面白ければ、このブログでも紹介するかもしれません(まぁ、面白いと思わなくて、「面白くないよ・・・」も意味がある情報と思っているので、紹介するかもしれませんが)。


ともあれ、自分が実践できるかどうかはあるのですが、頭が良い人がどのようなステップで物事を捉えて考えているかを知ることができますので、

  • もっと物覚えを良くしたい
  • もっと簡潔に物事をまとめられるようになりたい
  • もっと上手に話せる(伝えられる)ようになりたい
  • もっと斬新なアイデアを出せるようになりたい
  • もっと上手に問題を解決できるようになりたい

と思ったことがある人は、本書を読んでみてはいかがでしょうか?