コンサル一年目が学ぶこと(社会人一年目に読みたかった)

書籍『コンサル一年目が学ぶこと』を読みました。

 

新人時代から15年~20年経ち、各界で活躍する元コンサルタントの方たちが、新人時代に学んだことの中でいまも役に立っていること、言い換えると、職種・業界が変わっても通用し、また、リーダーや経営者の立場になっても通用していることを纏めた書籍です。

 

本書は、以下の4章で構成されています。

  1. コンサル流話す技術
  2. コンサル流思考術
  3. コンサル流デスクワーク技術
  4. プロフェッショナル・ビジネスマインド


それぞれ社会人1年生の立場で学んだことが、その時のシチュエーションとともに説明され、また、なぜ15年経っても役に立つことなのかが、分かりやすく解説されています。

重要さの軽重はあれど、いずれも大事なことばかり書かれています。逆を言うと、ある程度経験を積んだ社会人の方であれば、まったくの新規事項というのはないかもしれません。でも、それらが実際にできているかというと、なかなかちゃんとできていないこともあるよな・・・と思います。

少なくとも、私自身はできていないことがいくつもあって、反省することしきりです。そして、これまでなかなか仕事の成果があがっていないなぁと感じた周りの社員を思い浮かべると、これらの基本的なことができていなかった様に思います。


では、本書の中で特に重要だと思ったポイントを3つ挙げたいと思います。

 

1.相手の期待値を把握し、越える

1章の話す技術の中に、ビジネスをするうえでいちばん大事なものは何か?という問いに対して「相手の期待を越え続けることがビジネスの基本。そのためにはまず、相手の期待の中身を把握する必要がある」、「ビジネスというのは、突き詰めると、相手の期待を、常に超え続けていくことにほかならない。顧客や消費者の期待を超え続けていくこと。上司の期待を超え続けていくこと」とありました。

 

これ、本当にそうなんですよね。最低限、相手の期待値に達していなければ対価を貰えませんし、恐らく、期待値以上のOUTPUTを出さなければ、繰り返し仕事を貰うことは適わなくなります。

期待された内容が含まれていなければ、どれだけおまけのサービスや物品があったとしても、お客様や上司・同僚(部下も同じですね)の満足度は上がりません。

 

おいしい食事を食べに行ったのに、店の外装や内装はきれいだけれど、肝心の食事がまずかったらどうでしょう? 雰囲気を楽しみに行ったというのでもなければ、通常は満足度が非常に低くなると思います。

ただ、難しいのは、相手が期待する内容が何か?ということが、なかなか分からないということです。こればかりは、相手の方と認識を合わせるために丁寧にコミュニケーションするしかありませんが、相手の方もハッキリと言語化できるとは限らないので、簡単ではないですね。こうした場合、OUTPUTのサンプルを提示したり、作業の目的を質問してどの様なOUTPUTが必要かを確認したり、作業のアプローチや進め方を丁寧に説明してどこまでできそうかをお互い可視化する努力が必要になりそうです。

また、過剰な期待というか、自分にはできないことを期待されていることも良くあるので、そうした期待値を持たれている場合は、キチンと理由を示してお断りするか、どこまでならできるがどこからは出来ないと期待値を下げる(コントロールする)必要があります。

 

ともあれ、期待値コントロールというのは、コンサルタントに限らず、どの様な業界・職種においても、実は非常に重要なことなんだと思います。


2.仮説思考

業務改善、新規システムの構築、新しいマーケットの開拓、などなど、新しいことをやろうとしたときに重要になるのが、仮説思考となります。いずれも、現状の把握や今後どうするべきかの検討・決定、施策の実施、効果の測定などを行う必要があります。
現状調査にしても、今後どうするべきかにしても、調査を網羅的に実施したり、方法を大量に比較・検討していては、効率が悪いし、失敗したときに取り返しがつかなくなります。

その為、現時点で分かる範囲の情報から仮説を立てて、それを基に最小限の調査や実験を行って、仮説があっていれば深掘り(精度向上)を行い、間違っていれば、間違ったという情報もInputにして新しい仮説を立て(軌道修正を図り)ます。
こうした仮説→検証→フィードバックのサイクルを高速で回すことで、より早く、より正確な施策の実施につながります。これは、個人の作業レベルでも同じで、60点レベルの作業の段階で関係者(できればそのOUTPUTを受け取る人)に見せて意見を貰い、フィードバックをもとに修正することでより早く、より良いOUTPUTを作れるようになると思います。

もちろん、接客業のサービスのように、途中段階というものがない場合もありますが、これもより良いサービスやより効率よくサービスを提供できる様になるためには、仮説→検証→フィードバック(お客様の反応や業績、作業時間、などの結果)のサイクルを回すということはできると思います。

 

この仮説思考というのは、なかなかできている人も少ないと思いますし、自分もつい忘れがちなので、あらためて意識しようと思いました。


3.コミットメント

お金をもらって仕事をするプロフェッショナルとしては、コミットメント=「約束したことを必ずやり遂げてくること」は非常に重要です。
これなくして信頼は構築できませんし、そもそもお金を貰う資格もないと個人的には思っています。コミットメントしたことを実現するためには、手段は問わない(と言っても不正行為や犯罪行為はダメですが)ので、もし自分一人で出来なければ、周囲を頼ってでも実現する必要があります。

ですが、これができない人が非常に多いと感じます。また、悪い意味でコミットメントを捉えて、自分はできないのに安請け合いして、他の人にやらせるというのも違います。

自分が約束したことを、自分の責任をもって遂行するのがコミットメントなので、最初からできないと分かっていることをコミットするのは違います。困ったときに頼れる味方や仲間を作るのも、常日頃からの信頼関係構築を含めたプロフェッショナルとしての行動だと思います。


いわゆるローパフォーマーな人たちは、このプロ意識というのが希薄で、会社は〇〇してくれない、誰々が△△してくれない、などと不平不満が多い印象があります。会社や組織に問題がある場合も往々にしてあるとは思いますが、それ以前に、自分自身がプロフェッショナルとしてやるべきことをちゃんとやってないケースも多いので、個人は個人として、会社から給料を貰う分に対してプロ意識を持った仕事をしたいものです。

 

また、一人ひとりのコミットメントが達成できないと、周囲や会社全体にどのような影響がでるのか、また、お客様にどのような迷惑がかかるのかというのも意識する必要がありますね。
ひとつ一つの作業や仕事が、誰にどのように影響するかということが意識できていないと、コミットメントが弱くなったり、忘れてしまったりするのかな、、、と思います。

 

とまぁ、偉そうに書いてますが、自分自身に対する戒めとしても書いていますので、ご了承ください。

 


本書には、まだまだ多くのことが書かれていて、いずれも大事なことばかりですので、まだ若い人も、そうでない人も読む価値はあると思います。

また、とても平易に書かれていますし、冒頭に書いた通り、職種・業界が変わっても通用するスキルについて書かれているので、コンサルタント以外の人にこそ是非読んでいただきたいと思います。


それでは。