書感:話を聞かない男、地図が読めない女(ジェンダー平等≒男女同一)

すごーく久々に、書籍『話を聞かない男、地図が読めない女』を読み返してみました。 

 

ある程度の年齢の方なら実際に読んだことはなくても、タイトルくらいは聞いたことがある書籍ではないでしょうか?
端的に言えば、男女という性別に起因する違いを様々な側面から例示し、また、それが脳の構造や生物学的な違いが原因であること、そして、その違いを理解した上でどの様に乗り越えると良いかのアドバイスが書かれた書籍です。

男女における思考パターンやコミュニケーションスタイルの違い、理系的な考え方や空間認識、または、マルチタスクや情緒的な認識能力の高い低いの差、などなど、様々な男女の違いを生物学的な理由(いわゆる男脳と女脳)とともに説明しています。

また、その上で、どの様にその差異を理解してお互いのコミュニケーションをすれば良いかが書かれています。

今となっては、男女の脳の構造が違うことは一般常識化していると思いますが、この書籍が出た2000年当時は、目新しい理論だったように思います。

 

 

本書を久々に読み返してみて、最近のジェンダー平等の流れについて、あらためて考えさせられました。

本書には、ゲイやレズビアントランスジェンダーの方たちについても記載されているのですが、これらの性的志向は遺伝子レベルで決まっており、しつけや育ち、環境などの後天的な要素はほとんど影響しないのだそうです。

だから、近年のジェンダー平等の話の中で、LGBTQの人たちの権利についても主張されるようになったのだなーと、あらためて納得しました。

性的志向が本人が自分の意志で選択したものではなく、努力で変えられるものではない以上、非難や排除をするのは不当なことになりますからね。

肌の色や容姿、その他の身体的特徴で差別するのと、同じレベルです。

 

こうした方たちに差別的な発言をする政治家(だいたいが50代60代以上の男性議員)は、LGBTQは遺伝的な特徴であることを勉強しておらず、本人の努力でどうにかなるものではないことへの認識がないのだと思います(本来、努力すべきものですらないということも)。

 

あと、ゲイ遺伝子というのがあるらしく、男性の約10%が持っているそうです。そして、この遺伝子を持っている人が実際にゲイになる確率は50~70%、つまり、世の中の男性の5~7%がゲイになる可能性があるということのようです。

なので、実際には私が認識している以上にゲイの方はいるのかもしれません・・・私自身は未だ2~3人しか、同性愛や性同一性障害だと打ち明けられた人はいませんので、そんなにいるんだー、と正直驚きました。

逆に、レズビアンになる遺伝子というのは特定されていないようで、レズビアンになる人が1だとしたら、ゲイになる人はその8~9倍になるのだそうです。

 

 

話は変わって、男女平等についてですが、男女で得意不得意や趣味嗜好、考え方の違いがある以上、何でもかんでも男女同一にする必要はないという筆者は主張しています。

例えば、高い空間認識能力が求められる航空管制官を男女の人数を同数にしなさいといっても無理があるし、カウンセラーなどの高い共感力やコミュニケーション能力が求められる職業で男性の人数を無理やり増やしても、患者さんの迷惑になりかねません。。。

なので、男性だから、女性だからといって、最初から申し込む機会すら与えないのはダメだけれど、強制的に人数を同じにするというアプローチは、職種等によっては不適切ということになると思います。

 

一方で、政治家や企業のトップなど、リーダー層については、強制的にでも女性を増やした方が良いのだろうとも思います。
世の中のおよそ半分は女性なので、男性主導で率いてきた今の世の中で制度疲労が起きている部分や女性のニーズに応えきれていない部分については、女性のリーダーが増えることによって大いに改善する可能性があるだろうと確信しています(男性の私にとっては不都合なこともありそうですが)。

ただ、問題は、いまの政治制度や会社制度だと、女性がリーダーになりたいとも思わないでしょうし、男性優位の中で少しだけ女性を増やすというのは、そこに入れられた女性にとっては非常に苦痛になるのだろうな・・・とも思います。

男性目線で作られた制度・ルールの中で、競争・評価させられるわけですから、そこに放り込まれた女性は、やってられないだろうなぁ、と。

なので、もっと女性がリーダーとして活躍できる仕組みやルール、女性がリーダーになりたいと思える環境を作るということも必要なんでしょうね。具体的にどうなれば良いというアイデアは持っていませんが。

(これまでの経験では、男性優位の会社だと、女性は管理職になりたがらない傾向が強いように感じてます)

 


それはさておき、この書籍の秀逸なところは、各テーマについてちょっとした事例というか小話が書かれているのですが、その内容がいちいち自分自身の経験に照らしても思い当たりすぎて、「あるあるー」と納得しちゃうところ。

 

そして、アドバイスは書かれているものの、これらの差を乗り越えてうまくやっていく自信はいまも今後もないなー・・・と自信喪失?してしまいました。

あと、途中に「男脳・女脳テスト」というのがあるのですが、やってみたら自分が思っているよりも男脳レベルが低かったです。判定結果は、一応男脳の範疇でしたが中性寄りの結果でした。ガチの男脳だと思っていたので意外です。。。

もし興味を持たれた方がいたら、試してみると新しい自分を発見できるかも?

 

ともあれ、男女の違いで苦戦?していたり、したことがある方は、本書をぜひ読んでみてください。20年以上前の書籍ですが、書かれている内容はまだまだ古びていないと思いますよ。

ではまた。